壺の中からWINE研を観る
− 六中観のこころ −
株式会社 大倉 小林 裕
はじめに
平塚のWINE研に参加して6年目になる。平塚で新しく勉強会が始まるとの知らせを聞き、勤め先からわが家のある大船を通り越して毎月一度平塚に通い続けている。それまでは横浜が自分の世界で、神奈川大学主催の勉強会に参加したり、仲間と自主的に勉強会を運営したりしていた。2000年の年末に横浜で開催していた勉強会を閉じた後、しばらくの時間を経て平塚に通うようになった。横浜が私にとっての壺であったが、そこからWINE研を観てみたい。
WINE研で観た学び
陽明学者安岡正篤は六中観について次のように語っている。六中観とは「忙中閑有り、苦中楽有り、死中活有り、壺中天有り、意中人有り、腹中書有り」の六つの観である。そして平生いかなる場合もこの六中観を心に刻み、絶望したり精神的空虚に陥らないよう心がけることが大切であると述べている。私はこれらの観の中でも「壺中に天有り」には特に共感している。これはどんな境遇にあっても自分だけの内面世界をしっかりもつことの大切さを語っているのである。
初めの頃、WINE研は私にとってなじみの薄い地域で、新しく出会う人たちとの場であった。以前からお大変世話になった人も何人かいたものの、なんとなく借り物の時空間であった。しかし、6年経った今は自分の新しい世界として受け止めている。毎月平塚に通うのがひとつの楽しみになっていることに気づく。
WINE研での学びは、本を読んでその内容から得ることのほかに、仲間との議論から得るものも多い。しかしもっとも大きな学びはWINE研に参加している仲間の進化だ。仕事で忙しい中、毎月の勉強会の準備に苦しんでいるはずなのに、みなその素振りも見せず毎月の勉強会に参加する。そしてその場で得た学びを自分自身の中に取り込み自分自身を乗り越えてゆく。だから毎月必ず変化する。その変化を感じることができたとき、私自身も変わることができたような気がしてうれしくなってしまう。このようなWINE研の場こそ本当の学びの場であると観えた。
おわりに
安岡正篤の言う「意中人有り」とは、心の中に尊敬する人や許し合える人をもつことを意味する。「腹中書有り」とは常に学びの心を忘れないことを意味する。まさに海老澤栄一先生のもとに集うWINE研の仲間とそこで得る学びと通じ合っている。このすばらしい時空間を自分の壺にも押し込んでおきたい。そしてそれを自分の内面世界に活かしたいと思う。